俺としては、さすがにが目の前にいると興奮を冷ますことができないという意味で先に行ってほしいと言っただけで、後で冷水でも浴びるつもりだった。 それがこんなところでの本心を聞くことになるとは……長くて……しつこい……。 が満足するようにと、いつも早く達してしまわないよう色々工夫してコントロールしていたんだが、そうか……しつこかったか……。 ちょっと……かなり落ち込んでいたら、が……あのが俺の頼みでもないのに自分から口でしてくれるなんて思いも寄らない行動に出た。 下手だけどなんて、初めてだと判るそのつたない動きで一生懸命なところがまた興奮するのに。 おまけに喉につかえた苦しさに僅かに涙を浮かべた瞳で、先端を咥えたまま俺を見上げてきて。 そんなに煽られて、我慢できるはずがないじゃないか。 唇から魔法、指先から愛(6) 「まだ途中……」 中断させられたが困ったような、不満のような顔を見せて、それにまた嬉しくなる。 椅子から石床に滑り降りて、無言での水着の紐を肩から落とした。 「えっ、ちょっと……」 「があまりにも挑発するから」 「挑発って!その、手伝えたら思っただけで……」 判っている。はここではとりあえず一回収めてしまって、部屋に一緒に帰ろうといいたかったことくらいは、さすがに判る。 だが判っていても、我慢できないというだけの話で。 「そ、そういうのはちゃんと部屋に帰ってから!」 慌てて逃げようとしたの腰に手を回して抱き寄せると、の肩に口付けをして強く吸い赤い跡をつける。 「ま、待って!こんなところで最後まではダメよ!?」 「駄目って、でも」 の手が俺の肩を押し返して必死に突っぱねた。 それを無視して水着をさらに下ろして胸まで露にする。 柔らかそうに揺れた乳房に吸い付くと、俺を押しのけようとする力が僅かにだけ弱まった。 「ん……」 桃色の可愛い頂を舌で転がしながら、もう一方の乳房を下から揉み上げる。 「感じてるだろう?ここも硬くなってるし……」 「やっ……だ……」 舌で転がしていた硬く尖った先端に緩く歯を立てると、俺の肩を押し返していた力が抜けて代わりにしがみつくように爪を立てた。 腰を抱き寄せたまま、胸から手を滑らせて後ろに回し、柔らかな尻を撫でてそのまま下に降りる。 が小さく震えた。 「やっ……」 水着を横にずらして、そっと指先を蜜口に当てると思ったとおり、温泉の湯のものとは思えないぬめりが指を濡らす。 「ここも濡れてる」 「ちがっ……お風呂に入ってたから……!」 「でも風呂では」 羞恥で必死に否定するが可愛くて、入り口を弄っていた指を中に押し込めた。 「やぁ……っ」 そうすると、耳元で俺を煽るような艶めいた喘ぎを漏らす。 「すごく簡単に入った。風呂で中までは濡れないよね?」 「あ………」 「俺のを咥えて興奮した?」 肩に立てられた爪に力が入った。 中で指を動かすたびに身体が震えて、そうでもなくても膝も震えている。 俺の肩も痛いが、どうやらも膝が痛いらしい。石床に膝で立っていれば当然だ。 一旦指を抜いて、両腿の下に手を回してわざと不安定な体勢で抱え上げると、当然の流れとしてから俺の首にしがみつくように抱きついてくる。逃げようと思えば絶好の機会のはずだが、もちろんそんな思考が回るはずもないし、俺が回させない。 から抱きついてくれるから、両手が自由になってやりやすい。 俺を跨ぐようにの両足を広げてを膝の上に座らせると、中に再び指を入れて腰を摩り、耳朶を舌で舐めたりキスを繰り返した。 「や……やだぁ……」 「逆だろう、。気持ちいい?」 指を根本まで入れて耳元で囁くと、は唇を噛み締めて恥ずかしそうに首を振る。 「のここ、すごいね……溢れてきてる。きっともう楽に入るよ」 「あっダメ……っ」 指先で中の壁を引っかくように擦ると、身体が大きく震えて指をぎゅっと締め付ける。 指を伝い掌まで濡らすそれに、そろそろいいだろうと指を抜く。 小刻みに震えるはそれでも俺にしがみついたままだ。 の腰を摩りながら、水着を横にずらしただけのそこに先端を当てる。 「や……だめ……」 が逃げるように石床に膝で立って、俺の膝から腰を浮かす。 「楽にして。もう力が入らないんだろう?そのまま腰を降ろして座ると楽になるよ」 「だって……!」 下から突くようにして少しだけ入れると、はがくりと膝を折って俺にしがみついた。 「あぁ……っ」 の気持ち良さそうな吐息と、俺を飲み込む暖かな内壁に俺も唇を噛み締める。 「……お風呂……で……こんな……の……」 「だから汚れることなんて気にしなくていいよ。すぐに洗い流せるから。ほら、こっちでなら俺を全部飲み込んでくれるだろう?」 「や……ばかぁ……」 涙を浮かべて震える姿が可愛らしい。その目尻を唇でそっと拭う。 宥めるように腰を撫でながら少しだけ突き上げるけど、はびくりと震えるだけでこれ以上は自分で入れようとしてくれない。 ここまできても、風呂ですることにまだ抵抗があるらしい。 軽く息を吐くと、真っ赤に染まるの頬にキスをしてその潤む瞳を覗き込んだ。 「酷いな、。中途半端に放って置かれたらつらいんだよ。力を抜いててくれ」 「え、あ、だ……だめっ」 は軽く後ろに下がろうとして、挿入の角度が変わったことにぎゅっと目を閉じる。 その艶っぽい表情に我慢できずに下から一気に突き上げると、息を詰めてまた俺に強くしがみついてきた。 「ね、こっちなら全部入った」 返事がないのは恐らく口が利けないくらい感じているせいだろう。 耳元で聞こえる浅く色づいた吐息に、そのまま下から揺らすように律動を始める。 「すごく気持ちいいよ………はどう?気持ちいい?」 「はっ……あ……ぅん……っ」 答えがなくても、懸命にしがみついてくるその様子で判るけど、言葉がほしくて一度動くのをやめる。 「あ……」 「答えて。は気持ちいいかな?」 抱き付いていた身体を少し離して顔を覗き込むと、その黒い瞳に涙をいっぱいにためて、俺を睨みつけながらぎゅっと唇を噛み締めて小さく頷く。 噛み締められた赤い唇を舌で舐めて、俺はにっこりと微笑んだ。 「気持ちいい?」 言葉が欲しいんだ。 返事を強要する俺には少し泣きそうな顔をしたけど、その顔を見せないように再び俺の首に腕を回してしっかりと抱きついてきた。 「き……気持ちいい……」 「ここからどうしたい?」 「……………………」 「それとも止める?」 少し意地が悪いとは判っているけど、無理やりだろうとの言質を取っておくと後で怒られたときに色々と助かるので、こういう半ば強引に始めたときはからねだってもらわなくてはいけない。 「………もっと」 「なにを?」 しがみついていた手が背中に回って爪を立てられた。 確実に爪跡がついただろう。小さく鋭い痛みの後も、ジクジクと鈍い痛みが残っている。 からの、せめてもの抵抗だ。 「もっといっぱい……して」 風が吹いていれば聞こえそうにないくらいに、消え入るような小さな声。 ようやくからねだってもらえて、その水着を下ろして冷えた背中を掌で撫でた。 「ああ、すっかり冷えて。このままだと風邪をひくな」 露天風呂でゆっくりしすぎたか。 そういえば後ろにいいものがあったと、腰に力を入れてを抱えて立ち上がる。 「んっ……や、だ……」 俺の考えが判ったらしいが首を振って嫌がったけど、と繋がったまま湯船に足を踏み入れた。 「だめっ」 宿の風呂だということが念頭にあるせいか、は俺を突っぱねようとする。 落とさないように強く抱き締めて、ごと湯に沈んだ。 「大丈夫、このまま繋がっていれば漏れないよ」 「そ……いう問題じゃ……あんっ」 を膝の上に抱えたままでも、湯の中だと少し軽い。水の抵抗もあるけど浮力もあるので、これは少し楽だと俺は感心したけど、は嫌だと首を振る。 「お湯……も、入ってく……」 なるほど、挿入に合わせて湯も一緒に入るのか。 「やだっ、やだぁ……あっ……コンラッド……っ」 「のぼせるからここでは早めに終わろうか。そのほうがも楽だろうしね」 嫌だと言いながら強く抱きついてくるし、しゃくり上げるけど小さく頷く。 たぶん、にも自分がどうしているのかよく判っていないのだろうと、宥めるように背中を撫でながら下腹部に震えを覚える。 「ああ……達きそうだ……」 「……んっ……ゆ、湯船に出しちゃ……ダメっ」 それでも、そういうところだけはいつも通りで、公共の湯船を汚すなとの厳命に俺は至福の笑みを浮かべる。 「じゃあ、の中に」 「え、ちょっ……」 「だって他にどうしたらいい?」 「その……っ」 が答えに詰まった隙に、一際強く奥まで捻じ込むように腰を押し付けて、の中で解放した。 「んっ………!」 はびくびくと震えながら、その足を俺の腰に絡めて強く密着して抱きつく。 意識では駄目だと言っても身体は正直で、口では否定しても俺から搾り取るように何度も収縮して強く締め付ける。 「あ………や……中に……」 「……すごくよかった」 震えるの身体を抱き締めて、涙の残る目元や頬に上機嫌でキスを繰り返しながらそのまま一度肩まで湯に浸かった。 「続きは部屋に帰ってからじっくりと」 「もうやだぁ……」 が新たに涙を零して嫌だと首を振る。 「大丈夫、ここは暑いから消耗してるように感じるだけだよ。部屋に帰る頃には落ち着くから」 はまた首を振って、俺にもたれかかってきた。 疲れたんだろうと髪にキスをしながらそっと頬を撫でるけど、反応がない。 どうしたんだろうと覗き込んで驚いた。 「!?」 はぐったりと返事も出来ない様子で目を回していた。 ………湯あたりだ。 |