今回も王様業をこなし、日本に帰ってきたら出迎えはお袋の悲鳴だった。 「きゃーっ!ゆーちゃん、ちゃん、健ちゃん!何事なの!」 三人でもつれるようにして洗面台の傍で水浸しになって倒れていたのだから、その悲鳴も当然だ。 「す、すみませーん、渋谷が蛇口を押さえちゃったらしくて」 おれは公園で水攻撃を仕掛けるガキかよ。 「もうゆーちゃん!後片付けしてもらいますからね!あら……?」 お袋が、どうにか今回は持って帰ってこれたミニアルバムを拾い上げた。 「いやぁだー、水浸しじゃないの!せっかくのゆーちゃんとちゃんのメモリアルなのに!しょーちゃん、しょーちゃーん」 「どうしてそこでお兄ちゃんを呼ぶの?」 がおれの下から這い出して、風呂場に移動して濡れた服の水を絞っている。 「何か呼んだか、母さん」 勝利が階段上で声を掛けてくると、お袋は水浸しのミニアルバムを見せるように掲げて嘆いた。 「ゆーちゃんがせっかくのプレミアムフォトアルバムをこんなにしちゃったのよ。くしゃくしゃになったものまであるし、しょーちゃんの持ってる写真を焼き増しさせてちょうだい」 「勝利も持ってるのかよ!」 「何番の写真だ?」 「しかも番号振ってるし」 村田のツッコミを聞きながら、おれは自分の女装写真をすべて処分できる日がいつかくるだろうかと思いを馳せた。 |
お兄さんはもちろん、焼き増しして弟妹の写真をアルバムにして持っています(笑) 有利の願いが叶う日は来ないんじゃないでしょうか。 きっといつかいい思い出になるよ、ゆーちゃん……。 |