「コンラッドが他の奴とデートって、何のこと!?」
姫が部屋を飛び出した後、陛下が姫の駆け去った廊下と猊下とオレを等分に見比べる。
の勘違いだよ」
猊下は笑いすぎて痙攣しそうな腹を抱えて、ようやく床からソファーに上がった。
「ウェラー卿はただの送別会なんだろ?」
「そうだよ。あれ、村田知ってたのかよ。じゃあが言ってたデートって?」
「だからそれはの勘違い。僕はヨザックから、血盟城についてすぐにウェラー卿の不在の理由は聞いたんだ。その後、が不機嫌な理由を聞いたんだけどね」
オレと猊下は顔を見合わせて、ぷっとまた笑いを漏らす。
隊長は確かに哀れだったが、勘違いで恋人をデートに押し出したっていうのも姫が気の毒で、意地を張るなと問題の男を説得に行ったときに、オレはいち早く真相を聞いていたのだ。
栗毛のあいつは元々、もう叶わない恋に諦めはつけていた。
それでせめてもの思い出が欲しいとの一日だけ付き合いを頼んでいたわけだが、姫にしか興味のないあいつはケンモホロロだったのに、そこにきて例え他の奴が一緒でも「自分のために」隊長が時間を作ってくれたのが嬉しかったと、そういう礼だったわけだ。
珍しくあいつが姫相手に拗ねて、帰ってくるまで真相は秘密だと言っていたから、オレからは話せなかったわけで、決して姫をいじめて楽しんでいたわけではない。
「何にしろ、傍迷惑なカップルですよね」
「そりゃあ仕方ないよ」
猊下は笑い転げてぐしゃぐしゃの髪を手櫛で整えながら、ずれてた眼鏡を持ち上げる。
「恋は盲目って、よく言うだろ。あの二人はその典型」
「何?結局、はどんな勘違いしてたんだよ!?そんでもってはどこ行ったんだ!?」
「大丈夫ですよー、姫が城から出られないように隊長がちゃーんと手を回してますから」



そんな風に頭を抱えていた陛下はその日の晩、妹と名付け親が廊下で濃厚なラブシーンを繰り広げていたという噂を聞きつけて、ギュンター閣下と二人で金切り声を上げていたけど、その時点ですでに噂の二人は行方をくらませていた。
……で、オレはその捜索を命じられたりしてさ……。
見つけたら隊長が怖いし、見つけなかったら陛下が怖い。
本当に、傍迷惑なカップルだよ。







何故か結局わりを食うグリ江ちゃん……。
村田もヨザックも、送別会だと知っていたから笑っていたわけです(^^;)


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