街を出ると、案内役のは元気どんどんに先を走っていってしまう。 「こっちこっち!」 「本当にこっちの方角で合っているんだろうな!思い切り適当に歩いていないか、お前!?」 「失礼な!合ってるよ」 先へ先へと歩いていく猫と皇子に、魔道士と従者は早々に諌めるのを諦めた。陣形もなにもあったものではない。 仕方なしに、キルヒアイスは前の警戒はラインハルトに任せて自分は一歩後ろで左右と後ろに気を配ることにする。 「しかし、お前は一体どういう原理で姉上の居場所が判るんだ」 「それはね、わたしと姫様には、深ーい繋がりがあるからよ!」 自信満々に胸を反らしたに、ラインハルトはあからさまに顔をしかめた。 「なんだその薄弱な根拠は!それなら姉弟の俺の方がよほど繋がりが深いじゃないか!お前との繋がりなんて、姉上にとっては『深い』じゃなくて『不快』だ!」 「なんですってー!?」 前の騒ぎを聞きながら、キルヒアイスは雲ひとつない青空を見上げる。 「……まるでピクニックのようですね」 これは本当に皇女奪還の旅なんだろうかと疑問に思う従者の横で、魔道士は密かに欠伸を噛み殺していたのだが、僅かに口を動かしただけだったので従者はそれと気付かない。 「ですが本当に、どうしてにはアンネローゼ様の居場所が判るのでしょう?」 疑問を向けられたオーベルシュタインは欠伸を飲み込んで、やはりまったく無表情のままで隣の長身の男を見上げる。 「そういう設定になっているからであろうな」 「……そうですか」 きっと動物の勘だろう。キルヒアイスは深くは考えないことにした。 「ここ、ここ!姫様はここにいるよ!」 が指差す城門の前で、男三人は首を曲げて城を見上げる。 「何の障害もなく着いてしまったな」 「こういう話に定番の、レベル上げも小イベントもありませんでしたね」 「ある者によると、我々に今更区々たる鍛錬など必要がないからとのことですが」 「ある者とは誰だ」 「さあ?」 男たち三人が顔を見合わせてる先で、は足を踏み鳴らしている。 「ねー!早く行こうよ!姫様が待ってるんだから!」 「わかったわかった。そう急かすな」 放っておくと一人で突入しかねないに、ラインハルトが後を追う。 「……一体ここは誰の城だったかな……?」 こんな帝国のど真ん中に、無所属の城が建っているはずがない。必ずいずれかの所領のはずだが、一体誰の物だろう。 首を傾げるキルヒアイスは、オーベルシュタインと共に主と猫を追った。 城内に突入 |